砥石について

砥石には人造の砥石と天然の砥石があり、日本では古来から良質の天然砥石が採掘されていました。しかし、近年、採掘場の閉鎖や、人造砥石の品質向上によって、天然砥石が登場する場面は少なくなってきました。

ハガネの和包丁の仕上げて砥石として、人造砥石には無い切れ味や、霞を出せるので、京都産の天然砥石は世界的に人気があります。

以前、理容師の知り合いから譲ってもらった、カミソリ用の天然砥石を使ったことがあります。はじめは、とても硬く使いずらいのですか、名倉砥石でほんの少し表面を削ると泥が出て滑らかに研げるようになります。

この泥の具合が、人造の砥石とは違い粘るような感じの泥が出ます。天然の砥石には石英の粒子が含まれていて、研ぐごとに、石英が細かく砕かれてさらに細かな番手になっていくそうです。人造の砥石では30000番ぐらいが限界ですが、良質な天然砥石の泥の粒子はさらに細かいものになって刃先を研磨します。そのため、カエリが出にくく滑らかで且つ鋭い刃先になります。

また、ハガネと地金(軟鉄)の境目を際立たせる作用もあり、美しい仕上がりになります。

日本刀の美術研磨では天然砥石でしかできない仕上げの工程があり、美しい刃紋は天然砥石のぼかしの効果によるものです。

しかし、良質な仕上げの天然砥石は非常に高価な物ですし、切れ味に関しては人造の砥石でも十分によく切れるようになります。

人造の砥石は研磨力が強いので、荒研ぎから中研ぎを効率よく行えます。仕上げにおいては、砥粒の一粒一粒が鋭く立っているような感覚ですので、刃先も鋭いエッジになりますが、カエリが残りやすくなります。革砥や布などでカエリを綺麗に取る工夫が必要です。

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